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消化管外科 科長
角 泰雄

対象の病名

【上部消化管】
胃がん、食道がん、胃粘膜下腫瘍、胃・十二指腸潰瘍などの上部消化管(食道・胃・十二指腸)疾患に対して治療を行っています。
その他に、胆石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出、鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア手術、虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術、脾臓の疾患に対する腹腔鏡下脾摘術など腹部領域の内視鏡手術も行っています。

【下部消化管】
大腸癌(結腸癌、直腸癌)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸良性疾患(憩室、過長症等)小腸腫瘍等に対して治療を行っております。
その他腸穿孔(外傷含む)、腸管壊死等の急性腹症にも対応しております。

スタッフの紹介

  • 長谷川 公治

  • 庄中 達也

  • 谷 誓良

  • 宮本 正之

  • 大原 みずほ

  • 大谷 将秀

  • 合地 美香子

上部消化管 診療内容

内視鏡外科手術(内視鏡をお腹に入れて行う腹腔鏡手術や、内視鏡を胸の中に入れる胸腔鏡手術)を積極的に取り入れた外科治療を行っています。全ての患者さんが対象にはなりませんが、胆石症に対する胆嚢摘出術はもとより、胃がん、胃粘膜下腫瘍、食道がんなどに対して行っています。内視鏡外科手術は5〜12mmの穴を腹部または胸部にあけて内視鏡を挿入し、その穴から細い鉗子などの道具を用いて手術を行います。この手術方法により、

1)従来の手術より創が小さくてきれい
2)手術後の痛みが少ない
3)手術後の体力回復が早い
4)入院期間が短く社会復帰が早い

などのメリットがあり、患者さんの負担が少なくなるものと考えられます。また、臓器や血管を大きなテレビ画面に映し出して手術を行うため、従来の手術よりも出血が少なく精緻な手術が可能であることも大きなメリットとされています。

近年、高難度の腹腔鏡手術後に複数の患者さんが死亡したという事例が報道され、腹腔鏡手術が危険な手術であるかのような印象を与えかねないことがありましたが、当科ではすでに保険収載されている手術、および病院内の倫理委員会で承認された手術のみを対象としており、患者さんごとにそのメリットと危険性などにつき消化管外科スタッフ全員で議論し、患者さんへ十分に説明・同意を得たうえで手術を行っています。疑問の点、不安な点があれば遠慮なく担当医に相談してみてください。

胃がん

胃がんの患者さんが最適な治療を受けられるように日本胃癌学会では『胃癌治療ガイドライン』、『胃がん治療ガイドラインの解説』が作成・出版され、学会のホームページにも公開されています。

とくに『胃がん治療ガイドラインの解説』は、一部若干内容が古くなっていますが、胃がん治療を受ける患者さんやご家族様用に書かれていますので、是非とも胃がんと診断をされたら購入またはダウンロードして読んでいただき、理解を深めていただければと思います。当科でも基本的にこのガイドラインに沿って治療が行われます。前述しましたように患者さんへの負担を少なくするために、早期がんや進行がんの一部の(がんが胃の壁を出ていないものやリンパ節に多く転移していない)患者さんでは、腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡手術では創は比較的小さくなっています。

さらに、早期がんの一部の患者さんに対しては、機能温存手術(胃の機能をできるだけ損なわない手術)を行っています。例えば、従来胃を全部切除することが多かった胃上部の早期がんに対する腹腔鏡下噴門側胃切除術や、胃の出口側2/3を切除することが多かった胃中部の早期がんに対する腹腔鏡下幽門保存胃切除術などがあります。

また、腹腔鏡手術の対象とならず開腹手術を必要とする患者さんにおいても、創を小さくする努力をしています。侵襲を少なくすることで早期離床や早期リハビリテーションが可能で、さらに早期から食事を再開することで、体の中にある腸も早期リハビリテーションを行い、体全体の早期回復を目指しています。現在、胃癌手術における術後入院期間は9〜12日です。

診断されたときすでに進行がんである患者さんには、現在スタンダードな治療である術後補助化学療法(抗がん剤治療)を行う他、一部の患者さんでは手術前に化学療法を行い治癒率の向上を図ることもあります。

また手術後残念ながらがんが再発してしまった患者さんに対しても、最新のガイドラインや臨床試験の結果に基づく治療を行うと同時に、辛い症状で緩和医療が必要となった際にも緩和ケアチームと協力して治療を継続して行うことを目指しています。

食道がん

食道がんの患者さんにとって最適な治療がなされるように日本食道学会では食道癌診断・治療ガイドラインを作成しています。当科においても、また食道がんを治療する日本中の医師はこのガイドラインを参考にして各患者さんに対して最良の治療法を選択していきます。

我々担当医は患者さんにとっての最大の理解者であり、情報提供者になります。食道がんと診断をされましたら、是非、積極的に情報を集め、説明を受け、率直に話し合い、十分に理解して、治療に積極的に向き合っていくことが重要であると考えています。

食道がんの治療法には、内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)の4つがあります。ある程度進んだがんでは、術前化学療法と手術を組み合わせた治療が標準治療として行われます。

食道がんに対する手術は、食道の大部分と胃の上部、周囲のリンパ節を摘出し、胃(または結腸など)で食道の代わりを作るので、頸部、胸部、腹部の3つの領域に手術が及ぶ大きなものとなり、手術時間も長く術後合併症の発生も多くなります。また胃がんや大腸がんなどと異なり、手術以外の治療法も根本的治療として選択される場合がありますので、全身状態(体力)などを含めて治療法の決定に際しては、内科、外科、放射線科の専門医と相談をしてから治療法が決定されることがあります。この場合は、各専門医の話を十分に聞いていただくことをお勧めします。

当科では食道がんに対する手術も、可能な限り内視鏡(胸腔鏡、腹腔鏡)手術を行っており、術後の早期回復に努めています。

LECS(レックス、腹腔鏡・内視鏡合同手術)

GIST(ジスト、消化管間質腫瘍)などの胃粘膜下腫瘍では、リンパ節へ転移することが少ないため、胃の部分的な切除(局所切除術)が行われます。また比較的悪性度が低いと考えられるものに対しては腹腔鏡手術を行いますが、腫瘍ができた場所によっては従来の腹腔鏡手術では胃の機能を大きく損なうことがあるため、近年、外科と消化器内科が協力して腹腔鏡と内視鏡(いわゆる胃カメラ)を同時に使用することにより、正常な胃壁の切除量を最小限にするLECSという手技が開発され、当科でも消化器内科のご協力のもとに行っています。

単孔式腹腔鏡手術

胆石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術、虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術の中で炎症が高度でないものに対しては、臍を1カ所のみ切開して行う単孔式腹腔鏡手術を行っています。切開創が臍の場合、手術後しばらくすると(2〜3ヶ月といわれています)傷がほとんど見えなくなります。ちなみに胆嚢摘出術では、従来の腹腔鏡手術では4カ所の穴が必要でした。

下部消化管 診療内容

腹腔鏡手術を中心とした外科治療を積極的に行っております。全ての患者様に適応とはなりませんが、大腸癌手術の約80〜90%の患者様にはメリットがあり適応としております。

患者様のメリットとしては
1)傷が小さくて痛みの回復が早い
2)腸が動き出すのが早い
3)腹腔内の術後癒着が少ない

等があげられます。また手術を行う我々も、大きなハイビジョン画面に映し出される術野を手術スタッフ全員で把握しながら神経、血管を確認し操作するため従来の開腹手術より出血が少なくより精緻な手術が可能となります。

腹腔鏡手術に伴う事故例が報道され腹腔鏡手術の安全性に疑問を持たれることもあるかもしれません。
当科では保険収載とされている手術を対象としており、また患者様個々人の状況に合わせた手術選択をし、スタッフ全員でのカンファレンスの後に患者様へのインフォームド・コンセントを行って手術を施行しております。

手術の適応、方針等疑問点がございましたら外来でも病棟でもご相談ください。

大腸癌

大腸癌に対する治療指診については大腸癌研究会による「大腸癌治療ガイドライン」が作成されております。
患者様にもわかりやすく説明された「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン」も発売されています。

大腸癌に対する腹腔鏡手術の適応は胃癌とは異なり進行度等で明確な適応・不適応はありません。
基本は結腸癌(横行結腸癌、下行結腸がを除く)、早期直腸癌と記載がありますが、それ以上は十分な経験と知識を有する施設で行うこととなっております。

当科では十分な経験の元に耐術能(心・肺機能が全身麻酔に耐えられる)があり、気腹が不可能(腹腔内癒着が著しくお腹が空気(二酸化炭素)をいれても膨らまない状態)でない限りにおいてはほぼ腹腔鏡手術の適応となります。
個人差はありますが、術後入院期間は10〜14日前後です。

治療が難しいと言われる局所進行直腸癌に対しては術前化学療法を取り入れて切除不能もしくは困難な癌を小さくして根治術を行っております。今まで肛門温存が不可能であった患者様にも肛門温存が期待できる治療です。

また他臓器に高度に浸潤するような進行した癌に対しては開腹手術となることが多いですが婦人科、泌尿器科協力のもと根治術を目指しております。
残念ながら初診時の時点で他臓器への転移(肝・肺等)を認めるいわゆるstageⅣの患者様、術後再発をされる患者様がいらっしゃいます。
大腸癌は他臓器転移、再発があっても切除によって根治を望める可能性のある数少ない消化器癌です。我々は化学療法と手術療法を合わせながら常に根治を目指しております。

根治が不可能であった患者様にも最適な化学療法を行うことにより以前よりかなり長く予後が見込めるようになりました。
化学療法及び緩和医療につきましても当科及び関連施設と連携して患者様に合わせた治療を心がけております。

炎症性腸疾患

昨今、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患は内科的な治療法が功を奏し、以前程の手術適応は多くはなくなりました。
しかし潰瘍性大腸炎の内科的治療抵抗性の方、癌を発症した方には大腸全摘術が必要となります。適応のある方には腹腔鏡下大腸全摘術を行っております。
また適応のある患者様にはJパウチ−肛門吻合という、残存する腸粘膜がない状態(発がんする腸がない)で肛門を温存することも可能です。

クローン病は小腸型と大腸型、肛門病変を有するものがあります。いずれにしても病勢コントロールは内科的治療が不可欠であり、外科治療は内科的治療に抵抗性であった場合に行います。病変のある腸管を切って繋いでもまたそこには病変が現れるため再手術率の高い疾患と言われています。それを前提に出来る限り再手術のいらない吻合(狭窄しにくい吻合)を取り入れております。

また術中に腸管から直接内視鏡を挿入し、消化器内科医による小腸の観察なども行い治療をしております。肛門病変(痔瘻・肛門周囲膿瘍)も一般的な方より複雑であり、繰り返し、やがて肛門機能(肛門をしめる筋肉・括約筋等)を失ってしまいます。

出来る限り肛門機能を温存する術式(seton法)を中心として緊急にも対応し行っております。

良性疾患

大腸憩室炎、憩室穿孔、S状結腸過長症(S状結腸捻転)等を対象としています。大腸憩室は最近の日本人に増えております。
時に炎症を起こしたり、穴が空いたりします。無症状であれば特に治療は必要としませんが、症状がある場合には治療が必要となります。

発症時に腹膜炎となってしまった場合には緊急での手術が必要ですが、部分的な炎症で収まった場合には後日待機的に腹腔鏡で手術を行うことが多いです。

2015年の手術名とその件数

過去3年の手術件数 上部消化管グループ グラフ

2015年上部消化管手術名と手術件数 36件
胃局所切除 (うち腹腔鏡3) 4
胃切除 (うち腹腔鏡14) 20
胃全摘 (うち腹腔鏡8) 10
胃腸吻合 2

2015年の下部消化管手術名と手術件数

グラフ

2015年下部消化管グループ 119件
直腸癌切除 (うち腹腔鏡) 54 (50)
結腸癌切除 (うち腹腔鏡) 65 (53)